疑似科学に騙されるな!3

水素水(すいそすい)
一般的には「分子状の水素を水に溶かしたもの」とされています。

分子状の水素とは、水素原子が二つ結びついたものだ。

この「水素が、体を酸化させる活性酸素を中和することで老化を防ぎ、ガンや糖尿病を退治してくれる水」――という触れ込みで今、話題の“水素水”。

市場規模200億円ともいわれ、大手飲料メーカーがこぞって新商品を発売している。

だが、そもそも人の体内でも水素は発生しており、実物を飲んでも普通の水と味や匂いも大差ない。
 
そもそも水素水を販売しているメーカーはHPで「当社の水素水は医薬品ではないため、健康効果を標榜するものではありません」と明記しているが、冒頭に掲げたような効果を謳った論文などを信じ、愛飲する人が増えているが、

「果たして本当に効果はあるのか?」
と問われたら、疑似科学としか言いようはない。

愛飲家たちはその効能をもっともらしく語るが、思い込みに過ぎない。

水素を加えただけの水に医学的効果はない。 

水に関する著書も多い法政大学の左巻健男教授も水素の効果に懐疑的だ。

「そもそも水素研究自体は気体がメインで、しかもまだ疾患に対して効果があるかどうか調べ始めた段階。水素入りの液体を健康な人が飲んで効果があるのかは不明で、プラセボ効果の可能性が強いです」


確かに「水素水で睡眠の質が改善された」という研究もある。

だが、疑似科学に詳しい明治大学の石川幹人教授は次のように反論する。
「いずれの実験も少人数で行われた実験なんです。これだと結果に差が出やすく、たまたま効果が現れただけかもしれない。また、本来、こうした実験は利害関係のない第三者が追試を行うまでは確認されたと言えないのですが、それも実施されていない」

ということで、水素水の効果はまだまだ科学的根拠が薄いようだ。

【左巻健男氏】
法政大学教授。’49年生まれ。中学・高校の教諭を務めた後、同志社女子大学教授などを経て現職。著書に『ニセ科学を見抜くセンス』など

【石川幹人氏】
明治大学教授。’59年生まれ。認知情報論を専門とする傍ら超常現象の解明にも取り組む。著書に『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』など
※現在発売中の『週刊SPA!』6/14発売号では「[疑似科学]にハマる人の特徴」という特集を掲載中

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